2025-09-13 07:00 am by 須坂新聞
須坂市大日向町の大日向神社で7日に開かれた秋祭り「例大祭」で、須坂創成高校の書道部が文字を書いた新しいのぼりが披露された。明治期から使用してきたのぼりの新調に伴い、生徒に揮毫(きごう)を依頼。青空の下、堂々と勢いのある書が風になびいた。
氏子総代の桑島芳秀さん(71)によると、同神社では、春と秋の祭りでそれぞれ一対の異なるのぼりを掲げている。これまで春祭りは1880(明治13)年、秋祭りは90(同23)年に奉納されたのぼりを使用。ただ経年劣化の影響で布が破れるなど、更新が必要になっていた。
今回新調した秋祭り用は、ともに書道部2年の内川李音さん(長野市)と中岫真彩(なかぐき・まや)さん(須坂市新町)が揮毫した。「地域の期待に応えたい」「新しいことに挑戦したい」と、自ら大役を引き受けた。
8月4日、同校書道室。静寂の中、縦5.5m、横70cmの布と向き合い、筆を走らせた。内川さんは「巌松含瑞氣(がんしょうずいきをふくむ)」、中岫さんは「渓水吐祥煙(けいすいしょうえんをはく)」の吉兆を表す文字を仕上げた。
ゆっくり時間をかけて完成させた内川さんに対し、中岫さんは流れを意識して、ちゅうちょせずに書き上げた。緊張と重圧から解放され、安堵(あんど)感を漂わせた。
2人とも小学生の時から書道に親しんでいるが、大きな布に書いたのは初めて。筆の滑り方や墨のかすれ具合など紙との違いがある中で「勢いのある文字になった。ベストを尽くせた」と内川さん。中岫さんも「堂々としたメリハリのある字が書けた。力は出し切れた」と胸を張った。
顧問の本多美沙子教諭は「書道は生活に密着してこそ意味がある」と強調し、こうした地域とのつながりを喜ぶ。依頼を受け、生徒と共に既存ののぼりに書かれている文字を調べたり、意味を考えたりもしたという。2人が書いた文字を見て、「それぞれの良さが出ている。大きな空に負けない字」とたたえた。
秋祭り当日、のぼりは神社鳥居前の両側に掲げられた。桑島さんは「高校生らしい元気のある文字を書いてくれた」と感謝。同校書道部への依頼を提案した区長の春原等さん(72)は「(地域に)若さと元気がほしかった。高校生に頼んで良かった」と笑顔を見せた。
内川さんと中岫さんも祭事に参列した。初秋の日差しに照らされたのぼりを見上げ、改めて満足感に浸った。「青空にも映える」と中岫さん。内川さんは「この先いろんな人に見てもらえると思うと誇らしい」と喜んだ。
今後は、春祭り用も完成させる予定だ。
2025-09-13 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント
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