【須高の水田・果樹】高温少雨で渇水対策に四苦八苦

2025-08-09 07:00 am by 須坂新聞

農業 icon 全国的に高温少雨が続いているが、須高地区でも7月の降水量が例年を大きく下回り、コメや果樹などの生育に大きな影響を与えている。小布施町土地改良区では農業用水の確保に奔走、豊丘ダムは放流量を4分の3に減らした。果樹は日焼けや小粒になる被害を受けた。
 須高の米どころである小布施町の延徳たんぼは、取水源の千曲川の水位低下による影響を受けている。管内の田畑の配水を管理する小布施土地改良区は応急ポンプを設置したり、水田の配水区域を分割したりして対応しているが、用水が届かない水田もあり関係者は頭を悩ませている。
 小布施町の7月の降水量は前年比48%の58.7mm。同改良区は7月22日から水田を3ブロックに分割、それぞれ3日ごとに配水。29日は千曲川の水位が揚水機場の取水下限よりさらに低下、全く揚水できなくなった。
 同改良区は国土交通省千曲川河川事務所と協議、8月1日に応急ポンプを設置し取水できるようにした。限られた取水量のため配水区域を3分割からさらに六つに分割。揚水時間も2時間延長して午前6時〜午後6時とした。それでも一部の田には用水が届かない状態が続いている。
 そこで同改良区では配水が届かない水路にも応急ポンプを設置して対応。また、地区の北側を流れる真引川からも取水できるよう県に要望している。
 同改良区は水田約250ha、畑約160haに農業用水を配水。組合員は約1,000人。畑は果樹が中心で、地下水を利用してスプリンクラーで散水するが、今年は例年の1.5倍ほどの稼働が予想されるという。
 三井淳理事長は「今年は稲の中干し期間が終わったと同時に渇水になり、7月中旬以降、稲に水が入ってない。県、町の協力をいただきながら対応したい。施設の老朽化対策も改めて必要と感じた」と話している。
    ◇
 豊丘ダムは8月7日午前8時の貯水率は45.5%。昨年に比べて低く、下流利水関係者の理解を得て放流量を25%減量している。ダムを管理している県須坂建設事務所では「今後も少雨が続けば、さらに減らす必要がある」と話している。
 同ダムは高さ 81m。洪水調節や周辺地域への上水道用水供給を目的とした多目的ダムだ。須坂市民約2万人分の水道水を供給しているという。
 利水として使用可能な水位は満水時で標高844.10m 、最低水位で825.50m。7日の水位は835.83mで放流できる状況。だが6月20日から、通常放流量の毎秒0.4立方メートルから0.3立方メートルに減量して放流している。
 同事務所維持管理課の野崎隆一課長は「現在は降雨とダム水位の低下状況を監視。水位低下が進めば下流利水関係者との協議によりダムからの放流量を段階的に減じる可能性もある」と話している。
 果樹農家も苦慮している。リンゴは玉伸びが悪く、日焼け果が多発。栽培農家の返町豊さん(高畑町)は「5月のひょう害が一番の打撃で贈答用が皆無だ。せめて雨が降ってほしい」と願う。
 ブドウはひょう害により穂軸が傷んだ。少雨の影響で小粒・小房傾向という。高田洋一さん(沼目町)は「ブドウはひょう害で新梢が折れ、葉が破けたが、果実に影響はなかった。少雨にはかん水で対応する」と話す。
 JAながの須高営農センターでは「今年は生産者にとって大変厳しい環境が続くが、少しでも皆さんの所得向上を支援したい」と話している。

2025-08-09 07:00 am by 須坂新聞 - 0 コメント



須坂新聞


 須坂新聞はタブロイド判(20P~24P)で毎週土曜発行(年間48回)長野県須高地域(須坂市・小布施町・高山村・長野市若穂地区)で購読をいただいております。また配達地域外でも郵送にてご購読いただけます。購読料は1100円(月額/税込)です。購読お申し込みはこちらから。