2026-11-07 07:00 am by 須坂新聞
須坂市立東中学校(111人)は10月29日、被爆体験家族伝承者の元NHKアナウンサー杉浦圭子さん(広島県)の平和学習講演会を同校で開いた。杉浦さんは被爆した父や親族の体験を伝え、命の尊さや平和への思いを生徒たちに訴えた。
広島県出身の杉浦さんは、これまで原爆や平和に関する多くの番組制作に携わってきた。NHK退社後は、被爆者2世として父から繰り返し聞いた被爆体験を中心に、取材を通じて感じた平和への思いを全国で伝えている。
杉浦さんの父・清水良治さん(昨年93歳で死去)は広島県立商業学校1年生だった13歳の時、爆心地から約2㌔離れた校庭で被爆した。建物疎開の作業中だった2年生の母方の兄、岡本利夏さん(伯父)は原爆で命を落とした。
原爆が投下された1945年8月6日、良治さんら1、2年生約440人は校庭で建物疎開の作業に出かけるのを待っていた。原爆がさく裂すると、爆風で木造の校舎が浮き上がり全壊。良治さんはランニングシャツから露出していた首、肩、腕にかけて大やけどを負ったが一命をとりとめた。燃える広島駅を横目に見ながら意識がもうろうとする中で帰宅した様子や、無事を知って安堵する家族の姿などを生々しく伝えた。また、当時の父は「日本は勝つ、絶対に勝つ」と信じた軍国少年だったと振り返った。
現在、国会で議論が進む緊急事態条項にも言及。「戦争に巻き込まれない。加担しないためにも、国内外の動きに関心を持ち続けて。匿名ではない信頼できる情報を集めて、自分の頭で考えて行動してください」と呼びかけた。
生前、核抑止論者だった父の考えを容認できなかったことも明かし、「世界は核戦争になる可能性に直面している。核抑止論を乗り越える方法があれば教えてほしい」と問いかけた。
3年の依田あおさんは「被爆者の体験が想像できて心が締め付けられる思いだった。『みんな大切な一人』という言葉が心に残った。今、大切な人と話ができ、家族と暮らせることはとても幸せ。周りに感謝して生きていこうと思った」と感想を発表した。
講演会は国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の「被爆体験伝承者等派遣事業」を活用して実現した。
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